新創監査法人

星野佳路
プロフィール
1960年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。米国コーネル大学ホテル経営大学院で経営学修士号取得。シティバンクなどを経て、1991年より星野リゾート代表取締役社長に就任。
「星のや 軽井沢」など自社施設を経営する傍ら、2001年より「リゾナーレ」(山梨県)、「アルファリゾート・トマム」(北海道)、「磐梯リゾート」(福島県)など経営破綻した大型リゾート施設の再生活動を開始。2005年よりゴールドマン・サックスグループと提携し、温泉旅館の再生活動にも注力。日本の観光産業振興のカギを握る経営者として注目されている。
柳澤義一
プロフィール
1956年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。公認会計士・税理士。
新創監査法人の統括代表社員として、上場企業の会計監査を中心に幅広い分野で活動。2004年より日本公認会計士協会常務理事。 2013年より日本公認会計士協会東京会会長並びに日本公認会計士協会(本部)副会長に就任。
柳澤
星野社長との出会いは、弟さんの星野究道専務が学生時代に公認会計士試験を受けたいと相談にいらっしゃったことがきっかけでしたね。
星野
弟は私と同じアイスホッケー部に入っていて、大学2年のときにこのまま体育会を続けて公認会計士試験に受かるのかと、家族で大議論になったんです。そのときに知人から大学の先輩でもあった柳澤さんをご紹介いただいたんですよね。
柳澤
究道専務が学ラン着て銀座に来たんですよ。アイスホッケー部はやめた方がいいでしょうかと言うから「ふざけんじゃない」と(笑)、私も体育会、弓術部の出身でしたから「最後までやるのが当然だろう」と話をしたんです。もう30年も前ですね。
星野
そうおっしゃっていただいて良かったです。彼はその通りにアイスホッケーをまっとうし、ちゃんと公認会計士試験にも合格できました。
柳澤
仕事の関係では、社長がアメリカから戻られてからですね。
星野
コーネル大学のホテル経営大学院を卒業して実家に戻って大変革なんてやっていたら、同族会社から追い出されました(笑)。2年後に復帰するときは、自分一人では荷が重過ぎるとわかっていたので、監査法人にいた弟に「一緒にやろう」と言って、それで柳澤先生に監査役をお願いしたんですよね。
柳澤
前社長の親父さんとの世代交代が大変でしたね。
星野
同族会社の引き継ぎは、世代間の違いや価値観の違いがあって本当に大変です。
柳澤
なかなか厳しい親父さんで、「おまえらみたいに夢物語を言ってもだめだ! 文句言ってないで手伝え」って感じでしたものね。ですが、ちょくちょく「あいつらは大丈夫か、いい時ばかりじゃない」と心配されて、電話やメールをいただきましたよ。
星野
その節はお世話になりました。同族会社には良い面と悪い面があって、良い面は自分の孫子の時代にどうやっていくかと長期の経営ビジョンを持っていることです。でも悪い面は公私混同なんですよ。お金もどんぶり勘定だし、一族が組織の中で特権階級になっている。これが僕から見た最大の問題点でした。それを正すというと、一族は猛反発ですから乱暴な方法にならざるを得なかった。でも先生にはスピードダウンしていただいたと思います。株主問題もうまくおさめていただきました。
柳澤
星野社長は91年に社長に就任されたときから、温泉旅館ではなくて一流のリゾートにするんだとおっしゃっていましたね。
星野
僕はコーネルに留学するまで、親父の温泉旅館は格好悪いと思っていたんです。ハワイのリゾートのほうが格好良く見えたんですね。でもコーネルでは50人ぐらいいる中で日本人は僕一人で、たとえば大きなレセプションがあるときは、みんな自分の国の民族衣装を着てくるわけです。僕がスーツでいると、「おまえは千何百年の歴史を持つ日本から来たのに、何でイギリス人のまねをしているんだ」と茶化すんですよ。そのときに僕は、彼らが日本のリゾートを見たとき「日本には京都や奈良があってすごいのに、何で西洋のまねをしているんだ。西洋ホテルに泊まりに来たんじゃないよ」と言うだろうと思えたんです。だから格好悪いという事実はあるんだけど、それを格好良くする以外に僕らの道はないなと思いました。
柳澤
いろいろ悩みながら「星のや」のコンセプトまでいきつきましたよね。
星野
軽井沢は西洋文化ですし、うちも教会があってブライダルが収益の柱でしたから、そこからの意識の脱却は時間がかかりました。軽井沢の星のやができたのが2005年ですから、14年かかっています。
柳澤
その間に小淵沢リゾナーレの再生案件がありましたよね。
星野
実はあれ、僕は全然乗り気じゃなかったんです。弟(星野究道専務)はやるべきだという意見でしたが、僕は軽井沢の再開発が道半ばであったため、1ヵ月ぐらい躊躇していました(笑)。
柳澤
そうなんですか。でもあれの成功体験は大きかったですよね。
星野
大きかったですね。軽井沢を超えた運営の第1号になりましたが、その過程でリゾートの再生プロセスについて多くを学ぶことができました。それがアルツ磐梯につながりトマムにつながり、ゴールドマン・サックスとの提携につながって、柳澤先生にもずっと財務面でお世話になりました。
柳澤
究道専務が次々と案件を持ってきて、これはいける、これはいけない、という話をしてきました。会計面ではどうか、固定資産税はどうか、そういうところを整えてからでないと専務も社長に話を持っていけないですから、そこをしっかり議論してから専務は自信をつけて社長に提案していたんです。社長も会計や税金の面で大丈夫だったら、あとは経営するしかないですからね(笑)。
星野
そう。あとは僕が「お客さんを何人取れるか」ということだけです(笑)。
柳澤
実はファイナンス面では、専務は自分のアイデアを持っているんですよ。究道専務が公認会計士ということも大きくて、企業側に財務的なプランニング能力があると会社経営はものすごく違ってきます。もし財務的なアイデアを持たない経営陣が公認会計士に相談しても、多くの公認会計士は保守的に答えますから新しいことは始まりにくいです。でも専務のアイデアはチャレンジングなものが多くて、経営サイドがそういうタイプですとこちらも乗りやすい(笑)。それならこの資料を揃えよう、こういう交渉をしていこうとアドバイスができるわけです。
星野
僕はチャレンジというのは、クリエイティビティだと思っています。会社の魅力や製品にクリエイティビティが必要なのは誰もがわかっていますが、ファイナンスの部分でもありますよね。
柳澤
企業秘密なので(笑)、なかなか例として言いにくいですけど、たとえばトマムは不動産取得税がタダになりました。でもあれは、地方の産業の活性化には必要なことだったと思います。あとは、マイクロブルワリーを始めるときも、何度も国税局に交渉に行きましたよね。
星野
規模が大き過ぎてダメという話でしたね。規制緩和では60キロリットルという最低ラインで、ビールを作ってレストランで出してもいいですよ、というものでしたが、僕たちの事業モデルは3,000キロリットルぐらい作って外販もするという考え方だったからなかなかうんと言ってくれない。
柳澤
地元振興という意味では反対する話ではないのだけど、非常に役所は慎重でしたね。大宮の国税局と地元の佐久税務署に、社長と専務と一緒にずいぶん通いました。
星野
途中で難しくなると僕は黙って二人に説明してもらって(笑)、やっと認可を取ったんですよね。
柳澤
「よなよなエール」は人気があるでしょう。ネーミングも面白い。
星野
ありがとうございます。軽井沢高原ビールはとても業績がいいです。
柳澤
今は私はあえて監査役を降りて、星野リゾートと新創監査法人の関係は役職をつけないフリーハンドの形で、うちの若手が会社からの依頼を受けて飛び回っています。毎回、今まで考えたことのないアプローチで課題を設定されると非常にはりきっていますよ。
星野
ファイナンスもアイデアが一つ、二つあると結果が大きく違ってきますから、ファイナンスのクリエイティビティはとても大事です。我々は今までと違った発想をし、それをどうしたら実現できるかということをお願いしているわけで、マーケティングに近いプロセスになっていると思います。
柳澤
会計の問題、評価の問題、税務の問題、一つ一つをつぶしながら全体を組み立てなければいけませんから、若手には非常に良い訓練になっています(笑)。
星野
じゃあフィーをいただきますか(笑)。というのは冗談ですが、すごく画期的なコンビネーションになっていると思うんですよね。
柳澤
専務には、兄である社長が世界のホテルと戦っていくための足場をきちんと作るという目的があって、そのために常にアンテナを張っていてすごいと、うちの若手が言っています。私も星野社長のクリエイティブなやり方から学ぶことが多いです。これだけ大きくなっても社長室はいまだにないんでしょう?
星野
ないですよ。部屋どころか机もないです。空いているところを使っています(笑)。
柳澤
軽井沢では小さな電気自動車に乗っていましたよね。
星野
東京では自転車です。首相官邸に行くのも自転車(笑)。
柳澤
そうなんですか。
星野
今では国交省の方が官邸に僕の自転車置き場を作ってくれました。というのは、首相官邸のロータリーにはマスコミが待っているんですよ。みんなハイヤーで来るのに僕が自転車で来るのが恥ずかしいといって、いつも裏口に誘導されていて、それで裏口に自転車置き場ができたんです(笑)。
柳澤
面白いですね。既存の概念にとらわれず、一方ではぶれないコンセプトを持ってどんどん前に進んでいく。我々にもこの二つが必要だと思います。本当に相手のために役に立つことを考えると、単に法律や基準に書いてあることだけやっているのではダメで、もっと別の方法があるんじゃないかと常に発見していかなきゃいけないと思うんです。
星野
そういう「一緒に考えてくれる」ところが新創さんに対する安心感になっていると思います。ぎりぎりのクリエイティビティを含めた創造性と知識を持って考えてくれる安心感、ここが駄目と言えば、本当に駄目なんだと信じられる安心感です。「前例がないから駄目です」と言われるのとは大きな差があります。
柳澤
それは社長や専務が専門性を理解してくれることが根底にあるんですよ。経営側がオープンに接してくれないと我々もクリエイティビティが発揮できませんから、安心感を持っていただけるというのが一番ありがたいです。
星野
ファイナンスのクリエイティビティは、イニシエイトする経営側がまず持たなくてはいけませんが、それに柔軟に応えてくれるパートナーの存在は本当に重要です。
柳澤
後方のサポートは専務と私どもでしっかりしていきますから、社長は安心してこれからも前進してください。本日はありがとうございました。

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