新創監査法人

山田洋次
映画監督
54年、東京大学を卒業し、松竹㈱に入社。61年、「二階の他人」で監督デビュー。渥美清主演の「男はつらいよ」は69年~95年、88年から「釣りバカ日誌」シリーズの脚本を手がける。近年は「たそがれ清兵衛」(02)「武士の一分」(06)、「おとうと」(10)、「母と暮せば」(15)など。12年に文化勲章を受章。
神津信一
日本税理士会連合会会長
西村新
東京税理士会副会長
阿部力
東京税理士会広報部長
柳澤義一
新創監査法人統括代表社員、日本公認会計士協会東京会会長

中嶋朋子さんが女性税理士を好演!
平田家の長女はちょっと気が強い女性税理士。演じるのは、あの「北の国から」(CX)で22年間にわたり主人公の娘・蛍役を務めた中嶋朋子さん。
事務所職員であるやや頼りない夫との会話が楽しい。
「男はつらいよ」から20年。山田洋次監督が贈る待望の喜劇「家族はつらいよ」がいよいよ公開されます。柳澤統括代表社員は山田洋次監督と長くお付き合いさせていただいており、この映画に女性税理士が登場することを台本段階にキャッチ。神津東京税理士会会長(当時)にお話して、「家族はつらいよ」と東京税理士会のタイアップが実現しました。
今回は、東京税理士会の会報「東京税理士界」で開催された座談会をお届けします。
山田監督が持つ税理士のイメージ
阿部
映画「家族はつらいよ」には中嶋朋子さん演じる、大変切れ味のいい税理士が登場します。その台本を柳澤先生がご覧になられて、東京税理士会にタイアップのお話をいただいたんですよね。
柳澤
山田監督とは昔からお付き合いさせていただいていて、よく映画の話をしてくださいます。今回の映画は「東京家族」と同じキャスティングですが、職業が違っていて、「東京家族」で美容師役だった中嶋さんを、女性税理士にしたいというお話を伺いまして、これはすぐに神津会長にお知らせしなければと思いました(笑)。
阿部
山田監督は女性税理士のイメージはお持ちだったのですか
山田
僕自身、いつも女性の税理士さんにお世話になっているんです。彼女を通してその仕事ぶりを知るようになって、そうか、今度は美容師をやめて税理士にした方が面白いなと思いついたんです。中嶋朋子という女優さんも、どちらかというと税理士のほうが似合う感じがします。ときどきキッとなって、恐かったりして(笑)。そこに気はいいけれど生活力のない林家正蔵くんという夫がいる。正蔵くんは税理士事務所の職員で、奥さんに頭があがらないという設定です。税理士という役柄については、税理士会の方々と相談しながら作り上げていきました。
神津
税理士というと、一般的には固いイメージがありますので、今回、女性で親しみやすく描いていただいて我々としても嬉しかったです。税金のことだけでなくホームドクター的になんでも相談できるイメージでお願いしたいと思っていましたから、ぴったりでした。
西村
住宅地にある税理士事務所という設定も、非常にリアリティを感じました。撮影所が砧にあるということで、世田谷支部のみんなが本や小物を持ち込んだんですよね。税理士会のポスターも貼っていただきました(笑)。

東京税理士会世田谷支部のこだわり
税理士事務所の本棚には、税務関係、会計関係の本がズラリ。これらは東京税理士会世田谷支部が全面協力したもの。いまは電子申告なので申告書は置かないなどディテールにもこだわった。左上に貼られているポスターは、この撮影用に東京税理士会広報部が制作。
こころの動きを引き出す演出
阿部
山田監督ご自身に、この映画の見所を教えていただきたいと思います。
山田
簡単に言えば、熟年離婚の物語です。突然、女房が別れたいと言い出し、夫はどうしてなんだろうと悩む。そこで息子の恋人である蒼井優が、自分の気持ちをきちんと言葉にして伝えた方がいいと父をさとす。それに対してお父さんは、そんなの言わなくても俺の気持ちは分かっているはずだと。まさにそこが昭和的で時代とズレているんですが、でも、最後にお父さんは「長い間世話になったな、サンキュー」と言う。本当はありがとうって言うべきだったんでしょうけど、照れくさいからちょっとごまかしてサンキュー。そしてその気持ちが妻に通じて気持ちがほぐれていく。「思い」と「言葉」の問題なんですね。それがこの映画のテーマです。
西村
日本人には言葉で言わなくても分かるだろうという心情がありますよね。
山田
そういう文化が根付いていたんだけど、それは変わっていかなければいけないだろうと。僕はそれが、昭和と平成の境目でもあると感じているんです。たとえば小津安二郎監督の映画で笠智衆さんは、妻に対してありがとうとは言わないですよね。でも平成の時代は、それでは駄目なんじゃないかと思うんです。橋爪功さんは、そんな難しい場面をうまく演じてくれました。
神津
なんとも言えない微妙な表情でサンキューと言う場面、素晴らしいと思いました。妻役を演じた吉行和子さんの表情も絶妙でしたね。現場では山田監督が吉行さんになにか耳打ちされたそうですね。
山田
最も難しいシーンでしたね。吉行さんはとても緊張していました。だから、なんとかこの緊張をほぐさなければいけない。こういう時、言葉は何でもいいんですが、そっと囁くということが大事なんです。昔から女優さんを扱う時には、ガラス細工を扱うようにとよく言われたものです。乱暴に触ったら壊れてしまうから、そっと触るという感じで。女優が大事な芝居をしようとする時、監督が大声で怒鳴ったりしたら滅茶苦茶になってしまうんです。このシーンでは、吉行さんは「じゃあ私、これから死ぬまで一緒に暮らすわ」という短いセリフに、全エネルギーをかけて、極端に言うと女優人生を懸けて言おうとしているんですね。そのシーンを見て観客に、ああ本当にそうだなと思ってもらわないといけない。だからどんな表情で言うのかというのは非常に大切なんです。
阿部
微妙なこころの動きをあらわすのが山田監督の映画の魅力ですね。これから映画を見る方に、このラストシーンをぜひ楽しみにしていただきたいと思います。
リアリティと共感と
柳澤
私が印象的だったのは、家族とその周囲にいる人々の雰囲気やバランスです。とても自然で、素晴らしいキャスティングだったと感じましたね。
山田
映画「東京家族」を作った時、3カ月ほど俳優たちと一緒に過ごして、ある種のアンサンブルができたんですよ。それがなんだかもったいなくて、スタッフも含めて同じメンバーで別の作品を作れないかと思ったんです。「家族はつらいよ」はそんなところから始まりました。そして今度は、軽快な喜劇にしてみようと思って。
西村
では、「東京家族」の撮影時にある程度、構想が固まっていたんですか?
山田
「東京家族」の製作時、俳優さんたちと撮影の合間によく無駄話をしていたんです。あるとき蒼井優ちゃんが「私の知り合いでこんな人がいたのよ」と言って、年配の旦那さんが奥さんに誕生日祝いに何かやるって言ったら、「じゃあ私、欲しいものがあるの」と離婚届を出してきた。
柳澤
それは実話だったんですね。
山田
そう。笑っちゃ悪いですけど大声で笑ってしまって、その話は面白いねとそこから始まっているんです。
柳澤
この映画にリアリティを感じるのはそういう理由もあったんですね(笑)。リアリティがあるから、笑いも生まれるということでしょうか。
山田
経済優先で、緊迫した窮屈な時代だから、観客は楽しく笑いたいと思っている。だけど、なんだか笑える映画が少ないじゃないですか。僕が子どもの頃は、正月映画といえばほとんど喜劇ばかりでね。いつだって喜劇を作りたいという気持ちが僕の中にはあるんです。
神津
笑いを演出するというのはとても難しいですよね。
山田
自分からすれば悲劇なんだけど、他人から見れば滑稽な場面ってよくあるでしょう。そのシーンを見て、笑いながらも、自分だって結構同じことやってるな、愚かだなと感じて、ふと悲しくもなる。笑いって、ある種の共感から生まれるものなんだと思います。
西村
今回、中嶋朋子さんは、いるいる、こういう人って思いますので、税理士にとってはすごく共感できる楽しい映画です。
神津
税理士の仕事を広く知っていただくこともできるので感謝しています。
柳澤
少し気が早いですけど、続編も期待したいですね。相続のネタだったらいくらでもあるかと思います。
西村
相続問題で兄弟げんかを始めると、お兄ちゃんはあのときからこうだったと小学生のときの話をはじめますからね。もう税金の話じゃない(笑)。
山田
まさに「家族はつらいよ」ですね(笑)。税理士さんというのは人間の表からは見えない部分に触れる仕事だということがよくわかります。
神津
税理士会としてもこの映画を応援してまいります。
阿部
山田監督、皆様、本日は楽しいお話をありがとうございました。

座談会終了後、山田監督のサイン入りポスターを東京税理士会に寄贈!

柳澤は、山田監督とは長年の親交があり、監督から聞く映画の話は新創監査法人のモットーにも影響している。

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