1. HOME
  2. トピックス
  3. 執筆活動
  4. 制度は与えられるものではなく、 自分たちで作るもの。
執筆活動

制度は与えられるものではなく、 自分たちで作るもの。

国際会計士連盟(IFAC)の倫理基準審議会は、「報酬に係る倫理規定改訂案」の公開草案を公表し、2020年12月に成案としました。これによると、『監査事務所の収入に対して大会社等からの報酬が占める割合が、5年連続で15%を超える場合には、監査人は強制辞任すること』が要求されています。この点については日本公認会計士協会(JICPA)は反対しましたが受け入れられず、今後、JICPAの倫理規則にも組み入れられ、日本の中小監査法人に多大な影響がでることとなります。

JICPAの中小事務所支援担当の副会長でもある柳澤統括代表社員は、この内容に強く反対する意見を、青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科が発行する『青山アカウンティング・レビュー』に寄稿しました。

寄稿の趣旨は以下の通りです。
・15%の数字に根拠はなく、監査規制に対する国際的な考え方が、質を問うよりも形式を問うものとなっている。
・形式主義は公認会計士としての使命感の欠如、希薄化を招き、監査品質はむしろ低下する。
・我が国にこのルールを適用すると、多くの中小監査事務所並びにその監査先である上場会社に影響が出る。
・若手の公認会計士が上場会社の監査を目指す新しい監査法人を作ることも、非常に難しくなる。
・監査の国際規制は、原則主義でその方向性を定め、ルールは各国の判断に委ねるべき。

IPOの監査難民の発生防止を図ろうと、日本公認会計士協会は大手・準大手・中小監査事務所・独立会計士の全ての公認会計士がその特性を活かして日本企業をサポートする体制を整えようとしています。日本のパブリックインタレストにかなった制度作りを行うためには、JICPAはたとえ国際基準で決まったことであっても声を上げていかなくてはならないと考えます。

トピックス

高橋 克典

代表パートナー
公認会計士・税理士


1966年 千葉県市川市生まれ。
慶應義塾大学商学部卒業。
金商法監査、学校法人などの公益法人監査、IPO支援、事業再生など、幅広く業務を手掛けている。

現在、日本公認会計士協会東京会副会長(2019年6月~)、日本公認会計士協会理事(2022年7月~)、日本私立学校振興・共済事業団私学経営相談員、青山学院大学会計専門職大学院客員教授、国・自治体の各種審議会委員等も務めている。

スキー、登山、テニス、ジョギングなど、本来、スポーツは好きだが、業務多忙を言い訳として機会が激減している。次善の健康法としては、食事(&お酒)、入浴、睡眠の重視と信じている。

柳澤 義一

統括代表社員
公認会計士・税理士


1956年東京都生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒業。
新創監査法人の統括代表社員として、上場企業の会計監査を中心に幅広い分野で活動している。

日本公認会計士協会では、2001年本部理事、2004年より日本公認会計士協会常務理事、2013年より日本公認会計士協会東京会会長、2013年より2022年まで日本公認会計士協会本部副会長に就任している。現在は、日本公認会計士協会相談役を務めている。

「さて、IFRSを導入する! 導入して初めて気づく実務のポイント」
「図解 ひとめでわかる連結納税制度」
「ストックオプションの税務・導入マニュアル」
「会社の数字を読み解くルール」(明日香出版社)
「会計専門家からのメッセージ -大震災からの復興と発展に向けて」(共著)
ほか著書多数。
また、「企業会計」(中央経済社)、「青山アカウンティング・レビュー」(青山学院大学)、週刊「経営財務」(税務研究会)に記事を寄稿している。詳しくは、トピックスをご覧ください。